前回、扶養の基準と国民健康保険料の具体的な金額について述べました。今回は、扶養に入っておくべきラインについて、考えてみたいと思います。
社会保険の扶養を超える場合は?
まずは、社会保険の扶養の範囲を超える場合で考えてみましょう。社会保険では、年収が130万円(月10万8333円)未満であることが、扶養の条件です。この額を超える売上があるならば、社会保険で扶養に入ることはできません。そして、ご自身で国民健康保険料と国民年金を負担することになります。
その保険料額は、売上130万円、経費を半分の65万円(加入者40歳以上が一人、神戸市)で計算すると、所得65万円に対し、国民健康保険と国民年金をあわせて16万960円となります。所得の約25%が保険料になるため、負担は決して少なくありません。
またこの場合、所得が65万円ということは、所得税の扶養にも入れません。保険料にプラスして、ご自身の所得税も支払う必要が出てきます。
実際には、経費の額は人によって様々です。経費が多ければ保険料が少なくなり、金額によっては所得税の扶養に入ることもできますが、経費が少なければ保険料の負担はこれ以上に多くなります。この経費の中には、所得税の青色申告控除も含まれます。できるだけ会計ソフトなどを活用して経理処理を行い、青色申告をすることをお勧めします。
所得税の扶養を超える場合は?
次に、所得税の扶養を超える場合で考えてみましょう。
売上120万円、経費が半分の60万円の場合、所得は60万円となりますので、社会保険の扶養には入れますが所得税の扶養からは外れます。この場合、所得税だけをご自身で負担することになりますが、所得の額から税率は5%となり約1万1000円の所得税がかかります。
また、ご主人の所得税では配偶者控除は使えませんが、配偶者特別控除として38万円が控除されますので、所得税は変わりません。住民税についても同様に税額は変わらないことになります。よって、負担額の増額は約1万1000円、国民健康保険料(神戸市)より格段に少ない負担で済みます。
このように考えると、扶養に入っておくべきラインとしては、社会保険の基準を優先すべきだと言えると思います。まずは、売上が130万円を超えないように管理すべきですね。
国民健康保険の場合は?
130万円未満の扶養基準があるのは、会社員が加入する社会保険だけです。ご主人が個人事業で国民健康保険に加入している場合は、扶養という考え方がありません。保険料の計算の際に、世帯全員の所得を合算して計算することになります。
澤井ゆかり