新しい年に入り、また確定申告の時期が近づいてきました。経理が得意でない事業主の方にとっては、憂鬱な時期でもあるでしょう。しかし、作成した決算書の数字がどのような意味を持つのかを知ったら、決算書を作る意欲につながるかもしれませんね。
損益計算書と貸借対照表とは
個人事業の場合、決算書には損益計算書と貸借対照表の二つの表があります。損益計算書は、売上から原価や経費を差し引いた利益がどれだけあるのか、という1年間の経営成績を表します。貸借対照表は、12月末日時点でどれだけの資産を所有しているのか、という財政状況を表します。どちらも、事業の成績を知るうえで、とても大切なものです。
損益計算書の重要ポイント
経営成績を表す損益計算書で最も見るべきポイントは、「営業利益」と「経常利益」です。営業利益は、売上から原価と販売費を差し引いた利益のことで、いわゆる「本業の稼ぎ」になりますので、この営業利益が黒字になっていることが重要です。また、経常利益は、営業利益から営業以外の経常的な経費を差し引いた利益のことで、いわゆる「事業の経営力」を表します。
営業以外の経常的な経費とは、有価証券の売却損や借入金利息などがあげられます。これらによって経常利益が赤字になっているのなら、経営のどこかに問題点があることになりますので、早く問題点を見つけて改善する必要があります。
貸借対照表の重要ポイント
次に、財政状況を表す貸借対照表で最も見るべきポイントは、「自己資本比率」と「流動比率」です。貸借対照表は、資産の部・負債の部・純資産の部に分かれており、事業が持つ資産がどのような物でどこから得たのか、を表しています。このうち負債の部は、借入金など他人から集めたお金を指し、「他人資本」と呼びます。
一方、純資産の部は、元入金など自分で集めたお金を指し、「自己資本」と呼びます。事業を経営する上では、自己資本が他人資本より多い方が安定経営であると言えます。そのため、自己資本を自己資本と他人資本の合計で割った、自己資本比率を確認するのが重要となります。
また、資産の部の中に「流動資産」という項目があり、すぐに現金化できる資産を計上しています。反対に、負債の部の中に「流動負債」という項目があり、1年以内に返済予定の負債が計上されています。流動比率は、流動資産を流動負債で割った数値のことで、「負債に対する資金繰り(返済能力)」を表します。当然、流動資産の方が上回っている方が経営は順調であると言えます。
澤井ゆかり
これらの数値の意味を知り、実際に前年と比較してみてください。
決算書を作ることに興味が持てるかもしれませんね。