経営安定のための共済制度
先月に引き続き、経営者が知っておきたい将来のための備えについてお伝えします。今回は「中小企業倒産防止共済制度」です。この制度は、中小企業の連鎖倒産の防止と経営の安定を目的としています。中小企業は大企業以上に、取引先の経営状況に影響を受けやすいことから、このような制度が作られました。そのため、別名を「経営セーフティ共済」とも呼ばれています。
名前に中小企業とありますので、先月の「小規模企業共済」より、事業規模が大きくても加入できます。例えばサービス業の場合、小規模企業共済に加入できるのは従業員数5人以下の事業所となりますが、倒産防止共済の場合、資本金5000万円以下又は従業員数100人以下であれば加入できるのです。
共済の掛金はどのくらい?
この制度に加入すると、掛金を支払う必要があります。その額は、月額5,000円〜200,000円の間であれば、5,000円単位で幅広く選択することができます。また、必要に応じて掛金の月額を変更することもできます。支払った掛金は、全額その事業の経費として計上することができますので、将来の補償だけでなく、節税対策の一つとして検討するのもいいですね。ただし、積み立てできるのは、掛金総額が800万円に達するまでとなっているので、注意が必要です。
どんな補償が受けられるの?
では、どのような補償が受けられるのでしょうか?
まず、取引先企業が倒産した時や、売掛金や受取手形などの回収が困難になった場合に、貸付金を受けることができます。貸付額は、回収困難になった金額と、積み立てた掛金総額の10倍の額のうち、いずれか少ない金額となります。この制度の一番の目玉は、この貸付が無担保・無保証人・無利子で受けられる、という点です。中小企業への支援制度は色々ありますが、無利子で貸付をしている制度は珍しいと言えるでしょう。ただし、実際に貸付を受けると、その貸付額の10分の1の金額が、今までの掛金総額から控除されることになります。
また、取引先の倒産などの理由がなくても、臨時の事業資金の貸付を受けることもできます。ただし、これらの貸付を受けることができるのは、1年以上継続して事業を行っており、共済掛けを6ヶ月分以上納付していることが条件となります。経営不安を感じる前に、ぜひ加入をご検討くださいね。
詳しく知りたい方は、下記の中小企業基盤整備機構のHPをご覧ください。